INTERVIEW

一歩踏み込んだ伴走支援で模倣品対策を強化

株式会社ワコールホールディングス

法務・コンプライアンス部 知的財産担当 野村翔二

女性向けインナーウェアのトップブランドとして知られる株式会社ワコールホールディングスは、模倣品対策の取り組みを強化するため、既存の体制では対応が困難と判断。そこで、IP FORWARDのオンラインモニタリングサービスを導入しました。導入後は、現地法人とのコミュニケーションが改善されるなど、さまざまな面において業務の効率化が図られています。

巧妙化や悪質化が進む模倣品の手口

オフラインからオンラインへの移行が進むなか、偽広告や模倣品も増えてきました。とくに目立つのは、SNSにおける偽広告です。SNSやアプリの広告枠で当社ロゴを無断で使⽤した広告が表示され、それをタップすると偽サイトに遷移し、その先で当社とは関係のない商品が販売されています。

また、大手ECサイトにおける模倣品も深刻な問題です。一見すると正規品と似ていますが、品質は天と地ほどの差があります。模倣品と気づかずに購入されたお客様からは、「数回程度の着用で履いたら破けた」といったお問い合わせが当社に寄せられることも珍しくありません。あの手この手で模倣品業者の手口がどんどん巧妙化していますので、いつまでたっても「万全の対策を講じた」とは言えない状況が続いています。また、模倣品対応の担当者が私一人であり、できることが限られていることも課題の一つです。

全世界を対象にモニタリングできることが決め手

2007 年に中国で紙ラベルが偽造された模倣品が発⾒されたことで、当社の模倣品対策が本格的に始まりました。その後、中国の大手ECサイトでも模倣品が増加し、IP FORWARDとは別の調査会社にモニタリングを委託しました。

ただ、模倣品の問題は中国にとどまらず、ベトナム、台湾、フィリピン、マレーシア、インドネシアと、範囲は次第に広がっていきました。ブランドホルダーとして全世界のモニタリングが必要となり、そのためには全世界のECサイト調査が可能なIP FORWARDの協力が欠かせません。さらに、不正出品が中国以外で見つかった場合に、それが中国ECサイトでの出品との関連性を調査をしてくれることもIP FORWARDに依頼するうえでの重要なポイントでした。

顧客のニーズを理解し、最適なソリューションを提案

私は一人で模倣品対策に取り組んでいますが、言語や国毎の特性が異なるため、現地法人とのコミュニケーションが取りづらい状況でした。そこで、IP FORWARDのサポートを受けることで、現地法人との円滑な連携ができるようになり、業務の効率化につながりました。IP FORWARDは定型的なレポートではなく、当社の要望に応じて情報を細かなところまで提供してくれます。例えば、模倣品の疑いがある商品リストの作成を依頼すると、当社の現地法人の商品リストを除き、本当に疑わしい商品だけをリストアップしてくれます。システムと人間の両方の目でチェックしてくれていますので、日々巧妙化する模倣品に素早く対応してもらえることは大変ありがたいです。

また、問題解決の糸口が見つからなかった案件について相談したところ、「これは難しいですよ」と言われたものの、それだけで終わらせずに「それなら、このような調査ではどうでしょう?」と新たな切り口から調査方法を提案してくれたことがあります。このようなプラスアルファの対応は、模倣品対策の効果を高めるうえで欠かせません。

専門性を最大限に発揮しながらサポート

削除申請は代理行為であり、法律の知識が不可欠です。これは当然ながら、当社の信頼性にも直結します。この点、IP FORWARDのグループには法律事務所が含まれており、弁護士として法律の専門知識を有するメンバーがいます。このような高い専門性を持つIP FORWARDに一緒に動いてもらえることは、非常に有益です。

模倣品対策に求められる伴走者

模倣品は悪質化し、高度化していますので、そこにスピーディーに対応するための体制を維持し続けることが求められます。例えば、現状の運用はIP FORWARDから調査レポートを受け取り、私がそれを編集したうえで現地法人に渡し、やり取りを行っていますが、将来的には、私の介在なしで現地法人と直接やり取りしていただく体制を構築したいと考えています。そうすれば、業務がルーティン化でき、上流調査など他の業務にリソースを割くことができます。

もっと言うと、IP FORWARDには、さらなる「伴走者」としての役割を期待します。当社の知財チームは、「事業部に伴走していこう」というテーマを掲げています。これは、模倣品対策の世界でも同じです。当社の目指す方向に共感し、当事者として提案を行っていただくことで、よりスムーズに模倣品対策に取り組めると思っています。それが、まさに「伴走者」に期待することです。