INTERVIEW
打てば響く校務システム創り
システックITソリューション株式会社
代表取締役 市克吉
私立高等学校を中心に校務支援システムの開発・販売・保守を行うシステックITソリューション株式会社。各校に合わせたフルカスタマイズのシステムを、直接の対話を重ねながら形にしていくのが同社のスタイルだ。「打てば響くシステム創り」をモットーに、お互いの思いを共鳴させながら「その学校だけのシステム」をつくり上げる。岡山県津山市から全国へ、教育現場の業務効率化に挑む取り組みを伺った。
フルカスタマイズの校務システム
当社では、学校ごとにフルカスタマイズした校務システムを提供しています。通知表の発行、進学・就職時の調査書作成、生徒指導要録作成など、先生方の事務業務は多岐にわたり、取り組み方は学校によって異なります。成績処理ひとつを取っても、中間・期末テストの点数をそのまま通知表へ反映する学校もあれば、平常点を加味して評価する学校など、運用ルールはさまざま。規模や生徒数、校風、地域性など、学校が抱える事情は異なります。当然、システムに求められる機能も一校一校違います。当社では、そんな各学校の現状や課題を把握し、それら一つひとつに応えていくシステムを構築。現場の先生方にとって使いやすく、その学校に最適なシステムを創ることを大切にしています。
対話を通してシステムを構築
当社のシステム開発のモットーは、「打てば響くシステム創り」です。
お互いに打ち返し合うように、お客様と私たちで対話を重ねながら一緒に作り上げていく過程を大切にしています。初回のヒアリングでは、学校の運用や課題を把握し、その内容をもとにまず3割ほど完成させた状態で1回目の納品を行います。この段階で先生方に実際に画面を触っていただき、気づいた点や操作感、改善点などを率直にフィードバックしていただきます。こうすることで、初回のヒアリングでは出てこなかった細かな利用ニーズや仕様の違いを把握できるようになるのです。いただいた声をもとにさらに調整し、再度確認していただく。その工程を3〜4回繰り返し、段階的に完成度を高めていくことで、少しずつ100%の完成形へと近づけていきます。この段階的なアプローチが他社との大きな違いです。
末永く伴走するパートナーであるために
すべての打ち合わせ・納品を対面で行うことにも、こだわりを持っています。操作感や使い勝手というのは、実際に顔を合わせて話すことで初めて正確に伝わるもの。営業も納品もリモートで完結させず、必ず現地に足を運ぶようにしています。対面でのやり取りを重ねることは、先生方との関係性づくりにもつながります。システムは「納品して終わり」という製品ではなく、むしろ使われはじめてからが「本番」です。日々の業務の中で疑問点や「もっと使いやすくしたい」という要望が生まれてくるのは当然のこと。そのときに、先生方が気兼ねなく声をかけられる関係であることが、システム活用の質を大きく左右します。だからこそ、納品後も先生方が気軽に相談できる関係性を丁寧に育てていくことが大切です。そばで伴走し続け、安心して運用していただける状態をつくることも、当社の大切な役割だと考えています。
教壇への憧れから始まった、教育への思い
実は私自身、教員の道を志していた時期がありました。中学生の頃に夢中になって見ていたドラマ『三年B組金八先生』の影響で、生徒を第一に考え、熱く向き合う先生の姿に憧れを抱いていたのです。しかし最終的には工学の道へ進むことを選択。ただ、こうして学校現場に関わるシステム開発の仕事をしていると、当時抱いていた教育への想いがどこかで繋がったような、不思議な巡り合わせを感じます。文教事業を始めてからは、先生方が抱える事務業務の多さに驚かされました。今の時代、学校の先生はとても大変な環境に置かれていると言われています。事務作業に多くの時間を奪われ、最も大切な「生徒と向き合う時間」が十分に取れていないことも分かりました。システムを通して事務工数を減らすことができれば、先生が本来使うべき生徒のための時間を取ることができます。校務システムが先生の負担を軽くし、しっかりと生徒指導ができる環境をつくる。そして、その指導を受けた生徒たちが成長し、大人になって母校を思い返したとき、「先生は親身に寄り添ってくれた」と感じながら社会で活躍していく。そんな循環を生み出すことで生徒さんの成長を支えることができればと考えています。
人の役に立つシステムを目指す
起業前、私は地元のシステム会社で某大手化学メーカーの生産管理システム開発を担当していました。しかし当時は、自分の作っているものが本当に人の役に立っているのか実感できず、仕事に対する自信を持てずにいました。ところがある時、私が担当したシステムの導入によって、それまで月に何度か発生していた誤出荷がゼロになり、担当者の方が工場長表彰を受けられたのです。その知らせを聞いた瞬間、初めて自分の作ったシステムが、現場で喜ばれているという手応えを感じました。同時に、「人の役に立つシステムづくり」こそ、自分の天職なのではないかと、自分の進むべき方向が見えはじめた瞬間でもありました。
その後、母校からシステム再構築の依頼を受けたことをきっかけに文教事業へ踏み出し、やがて独立を決意することになります。経営者として歩みはじめた頃、尊敬するある方から「たらいの水の法則」について教えをいただきました。水を張ったたらいを想像すると、自分の方へ水を引き寄せても、結局は側面を伝って反対側へ流れてしまいます。つまり利益だけを求めているとかえって自分のもとから逃げていってしまいます。しかし、手前から奥に向かって水を押し出すと、その水は側面を伝い、勢いを伴って自分のところに戻ってくる。自分たちのもとに、何倍にもなって戻ってくるわけです。事業は相手があってのもの。まずはお客様が本当に喜ぶものを提供することに専念すれば、必ず後から大きな成果として自分の元に返ってくる。「他自実現」とも言われますが、自分の利益よりもまず相手の実現を優先するという考え方は、今の私の経営姿勢の核になっています。
ローカル発で、全国へ
当社は、岡山県津山市という「片田舎」ともいえる地域で事業を展開しています。それでも、全国にお客様を持つ会社へと成長してきました。地方に拠点を置くことで固定費を大幅に抑えられるため、システム導入価格を他社よりも安く提供できるという大きな強みがあります。今後も、事業をさらに拡大していきたいと考えています。当面の目標は、全国約1300校ある私立高校のうち、10パーセントの高校に導入していただくことです。急激な成長を狙うのではなく、『うさぎとかめ』のかめのように、しっかりと足場を固めながら着実に前へ進んでいきたいと思っています。また、教育を巡る状況も年々変化しています。創業当初は、校務の中でも成績管理や帳票作成などといった領域を主にカバーしていましたが、「コロナ禍」をきっかけにニーズの幅が大きく広がりました。特に、保護者との連携をスムーズにするための欠席連絡機能など、新しい形のコミュニケーションを求められるケースが増えてきています。
今後も、時代の流れとともに学校現場が必要とするものを敏感に捉え、柔軟にシステムを進化させていくことが大切だと感じています。そして、常に目指しているのは、導入いただいた学校から5段階中「5」の評価をいただけるような、期待を超えるシステムをつくること。これからも未来を想像しながら、先生方に寄り添ったシステムづくりを続けていきたいと考えています。