INTERVIEW

地方から世界へ、キャリアを拓く海外留学。

株式会社アフィニティ

代表 平田智義

個々のキャリア形成に役立つ海外留学をサポートする株式会社アフィニティ。代表の平田智義さんは、アメリカ留学によって人生の転機を迎え、「人との出会い」と「環境の変化」を届けられる留学支援事業に情熱を注いできた。また、地方からグローバル人材を輩出する取り組みなど、教育全体の底上げに寄与する活動も広く行っている。そんな平田さんに、海外留学の意義や今後の展望を伺った。

確実な自己成長に繋がる留学をサポート

株式会社アフィニティの最大の特徴は、渡航前に自己分析と自己理解を通じてキャリアビジョンを作成し、将来の目標に基づいた有益な留学プランを提案することです。単なる留学の手続き代行ではなく、留学を通じて個々のキャリアを築くための本格的な支援を行っています。そのために当社では各国(イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)に精通した専門コンサルタントや、IELTS指導のトップエキスパート、国家資格を持つキャリアコンサルタントが在籍し、専門性の高い留学コンサルティング、および英語指導を実施しています。2024年には『アジア最優秀エージェント』ファイナリスト5社にもノミネートされました。

多くの若者が自分の将来にワクワクできなくなっている昨今、「留学」という機会を通じて多様な価値観に触れることは、彼・彼女達にとって大きな転機になるはずです。そこで、1人ひとりの適性や目標に応じた留学プランを提示し、彼らの明るい未来をより明確にすること。それがプロの留学コンサルタントとしての仕事だと私は考えています。

「環境の変化」と「人との出会い」の重要性

私には、先の見えない不安に襲われて高校を中退したという過去があります。当時、何かヒントを求めて地元の福井県から大阪へ移住したものの、何も得られず、大検取得のために予備校に通う日々を過ごしていました。そこで、恩師と出会ったのです。彼は、特に目標も持たずに日本の大学へ進もうとしていた私に、「やりたいことがないなら、お前の1番苦手なことで勝負しろ」と言いました。誰もが「得意なことを活かせ」と口にする中、その言葉は私の心に深く響きました。その瞬間、「ここで決断しなければ、一生後悔する」と感じ、アメリカ留学を決意したのです。

現地での生活は苦労の連続でしたが、私の目標は「英語を習得すること」ではなく、「英語をツールとして将来に活かすこと」でした。だからこそ、挫折せずに勉学に励み、強靭なメンタルとバイタリティを身につけることができたと思っています。そして何より、この経験を通じて、環境の変化や人との出会いが、どれだけ爆発的に人を成長させるかを実感しました。当時、「将来は留学に関わる仕事をしたい」と思ったのも、「環境の変化」と「人との出会い」を合わせて届けられる最高の仕事だと確信したためです。

留学エージェントで感じた、業界の課題

帰国後は、予備校や英会話スクールの講師を経て、当時最大手だった留学エージェントに入社しました。仕事が肌に合っていたこともあり、入社3カ月後でマネージャー、7カ月後には店舗責任者に昇進。成果が待遇に反映されるシステムも私にとっては魅力的でした。しかし、そんな成果主義の社風にもデメリットがありました。歩合制が基本のために、成果を出せない社員は仕事を続けることが難しく、それが離職率の高さに繋がっていたのです。結果、そんな悪風が影響してか、会社は長続きしませんでした。

その後、1度は留学業界を離れた私ですが、恩師との出会いや自身の留学体験を振り返ると、やはり「この業界を牽引していきたい」という思いが強まり、株式会社アフィニティに入社。当時、休業状態であった留学事業部を同社の中心事業にまで押し上げると共に、留学業界全体の底上げを目指す活動も始めました。たとえば、「NPO留学協会」での留学トラブルに関する相談ボランティアや、留学コンサルタントの育成、全国各地での留学セミナー開催などがその一例です。また、「一般社団法人グローバルエリート育成機構」を設立し、志を持ったグローバルリーダーを育成したいと高等学校等の教育機関で、生徒だけでなく保護者や先生方も含めた留学啓発活動を展開しています。これらの活動はビジネスではなく、純粋に私たちが持つスキルや経験を広く伝え、留学業界をグローバル教育を担う機関として昇華させたいという思いから取り組んでいます。

1人ひとりに寄り添うことを最重視

留学エージェント時代と現在を比べると、同じ「留学」を取り扱っていても、そのスタンスや接し方には大きな違いがあります。以前は売上に追われていたために、目の前の学生の将来よりも、契約をいかに増やすかという点に意識が向くことがありました。しかし、今は目の前の学生が、いかに有意義な留学体験をできるかを最優先としているため、学生に寄り添ったコンサルティングや、信頼関係を築くことに注力できています。人によっては「今は留学に行くべきではない」と結論付けられる場合もありますが、納得のいく話し合いの末に出た結論であれば、私はその意志を尊重しています。学生本位のコンサルティングを実現できる一因は、成果主義ではなく、固定給をしっかりと支給する当社の給与体系にあるかもしれません。

また、NPO留学協会の理事として私は留学業界のトラブルに関する相談を受ける機会も多いのですが、トラブルの原因の1つが、未熟なカウンセラーによる安易な留学プランの提案です。そのため、当社では業界経験10年以上のベテランカウンセラーを揃え、少数精鋭の専門家集団として、留学者がトラブルに遭わないようなマインドセットのサポートにも注力しています。結果的に、当社への留学相談はご紹介で来られる方が多く、これも1人ひとりと信頼関係を構築できているためかと自負しています。

ローカル×ローカル=グローバル

海外の先進的な教育を日本の教育に取り入れるため、日本と海外の教育機関の国際協定を推進しています。中でも、アメリカ・カリフォルニア州のマーセッドカレッジ(Merced College)や、マレーシアのパインヒルズ・インターナショナルスクール(Pine Hills International School)など、海外のローカルな教育機関と日本のローカルな教育機関を結んでいることが、1つの特徴です。通常、留学事業では首都圏の私学を中心とした富裕層が多い教育機関を対象にすることが一般的ですが、当社は日本全体の教育を考え、北は北海道から南は沖縄まで、約20の私立・公立学校と連携し、地方からグローバル人材を輩出する取り組みを行っています。

日本の地方部は過疎化が深刻化しており、私の地元である福井県小浜市もその影響を強く受けています。そんな中、同郷の友人が地元の伝統工芸品である「若狭塗箸」を世界に販売している話を聞き、地域活性化の鍵は「地産地消」ではなく「地産外消」にあるという気づきを得ました。なぜなら、過疎化が進む地域では、「地産地消」は通用せず、マーケットを外へ広げていく必要があるためです。これをきっかけに、福井県小浜市から世界で活躍できるリーダー「グローカルリーダー」を輩出するプロジェクト「若狭グローカルリーダーズプロジェクト(Wakasa Glocal Leaders Project)」を地元の同志と共に立ち上げました。「あの学校に行けば留学できる」と認識されれば、学校の魅力度向上に繋がり、県外からも生徒を呼び込むことができるはずです。さらに、「 若狭グローカルリーダーズプロジェクト(Wakasa Glocal Leaders Project)」では奨学金制度も立ち上げ、海外留学にチャレンジする学生達への支援体制も整いつつあります。地元企業の支援も頂き地域全体で「グローバル人材の育成」に取り組む機運を高めることで、新しい形の「地方創生」を実現していきたい所存です。

世界で活躍できる日本人リーダーの育成を目指して

私は「グローバルに活躍する人材」とは、自らのアイデンティティを理解し、それを世界に発信できる力を持った人物だと捉えています。英語を学ぶよりも先に、日本や日本人の持つ魅力を理解し、その上で、海外留学を通じて視野を広げられれば、世界の人々からリスペクトされるリーダーへの第一歩となるでしょう。ゆくゆくは未来の若きリーダー達が、日本の地方の魅力を再発見し、それを世界に発信することで、日本全体の国力向上にも寄与できると信じています。たとえ海外で活動しなくとも、留学によって培われた広い視野は、地元や社会に貢献できる人材へと成長するための重要な礎となるはずです。

現在の日本では少子化が進行する一方で、自殺やひきこもりといった社会問題が、子どもたちの可能性を奪っているという現実があります。この状況を打破するためには、硬直化した日本の教育に海外の教育の新風を吹き込み、すべての生徒が輝ける教育環境を提供する必要があると信じています。私達は引き続き海外の教育機関との提携を強化し、学生1人ひとりが自分の将来にワクワクできるような多様な進路を提示していきます。そして、留学業界をリードする存在として、グローバル教育の一環である「海外留学」の意義を伝えながら、この業界のプレゼンス向上に努めていきたいと考えています。

株式会社アフィニティ

代表

アメリカの大学を卒業後、予備校等の講師職を経て留学業界へ。大手留学エージェントにて異例のスピード出世を果たし、その後、業界の課題改善を目指して株式会社アフィニティに入社。地方部の学校にて国際提携留学を推進するなど、日本のグローバル教育に貢献する活動を行っている。