INTERVIEW
誠実な施工で地域と信頼をつなぐ
株式会社天花寺板金
代表取締役 天花寺秀記

三重県を拠点に、東海地区で屋根や外壁の改修工事を手掛ける天花寺板金。代表の天花寺秀記氏は、現場経験を活かし、現地調査から提案、施工、アフターフォローまで一貫して担当することで、顧客に安心を提供している。規模の小さな会社ならではの柔軟さと高品質なサービスを追求し、施工実績は平成16年の創業から累計1500件以上。地域密着の姿勢を大切にする天花寺氏の想いとは。

現地調査からアフターフォローまでノンストップ
天花寺板金は、三重県を拠点に滋賀や愛知、岐阜などで建物の屋根や外壁の改修工事をメインに、一般住宅や店舗、工場、大型施設の施工も手掛けている会社です。一番の特徴は、代表である私自身が現地調査から提案、見積もり、施工、アフターフォローまでノンストップで担当していること。会社の規模が小さいからこそできることではありますが、私も実際に18歳から職人として作業してきた経験があり、細かい作業フローを熟知していることが大きいと思います。「こうした工事を行うことで、雨漏りは防げます」といった具体的な説明をすることができ、さらにその場で金額提案や即決も可能です。全てを現場で完結できるというのは、お客さまにとっても安心していただけるものであると感じています。
私自身が現場で直接交渉するからこそ細やかな目配りができるという点はもちろんですが、そこには実際に動く人数が少なく済むというメリットもあります。ロスを少なくするということは、どこも同じように実践していることではありますが、関わる人数が多くなればなるほど利益も多く挙げなければいけなくなり、少ない人数で効率よく作業を進める方が、トータルでの金額を抑えることができる。この仕組みにより、低価格でありながら高品質のサービスを提供できていると自負しています。
丁寧かつ誠実な施工と最長15年の保証
施工までの流れとしては、まずはホームページやお電話でお問い合わせをいただき、訪問日時を決定。その後、1週間以内に現地調査・点検を行い、見積もりを作成した上で、その内容と金額をお客さまに説明します。私以外の職人が訪問することもありますが、最初の調査・点検は無料で実施しています。ここで報酬をいただくと、その後の見積もりが難しくなりますから、調査・点検はあくまでお客さまに信頼を寄せていただける第一歩と考えています。
さらに、当社では最長15年の保証サービスを提供している点もこだわりの一つです。私たちは、板金工業組合から「責任施工認定」を受けていますので、当社が行う工事については最終的に私が検査を行うことで、10年の保証を提供することができるように。また、使用するガルバリウム銅板という原材料についても、メーカーによって最大25年の保証があります。これを踏まえて、最長15年の保証をお客さまに提供できる形となっています。

密なコミュニケーションで築く信頼関係
平成16年に創業以降、これまでの施工実績は累計1500件以上。「きれいに仕上げてもらったから」とお客さまを紹介いただいたり、数年後に別の場所の改修工事を依頼していただいたり。丁寧で誠実な対応をすればするほど、お客さまとのご縁はつながっていくと実感しています。実際、きれいに仕上げてうまく終わったなと自分でも思えたお客さまの工事は次につながることが多いですね。もちろん、努力してもお客さまに伝わらないこともありますが、できるだけ良いコミュニケーションを取ることが大切だと思っています。
お仕事をされているお客さまだと、勤務後の夜遅い時間にメールをいただくことも多くあります。営業時間外ではありますが、できるだけ早急に返信をするよう意識しています。例えば、屋根工事中に雨が降りそうな場合など、事前に「大丈夫です。雨漏りはしません」とお伝えしても、やはり不安に感じられることもあるでしょう。そのため、そうした不安に迅速に対応することを心掛けています。
お客さまは財産という気持ちを忘れずに
以前、お客さまに「リフォーム中は家を人質に取られているような気持ちです」と言われたことがありました。鍵を預けていただいて工事をしているので、そこまで信用していただいているんだという想いを忘れちゃいけないなと。最近では、「どの部分の工事をしたのか、進捗を教えてほしい」という声を受け、工事の進行状況を写真で報告するようになりました。お客さまが帰宅した際に、どこがどのように変わったのかが一目で分かるようにするためです。また、工事を一時休止する場合なども、前日には必ず連絡を入れるようにしています。お客さまへの連絡については、職人が行うこともありますが、その際に私へも同時に送信するようにしてもらっています。お客さまからお問い合わせをいただいたときに状況が分かるよう、自分も全体を把握することが大切だと思っています。
お客さまは、私にとって大切な財産。そういった細やかな気遣いは、外注の職人を含め、当社に関わるスタッフ全員に共通認識として持ってほしいと考えています。「これくらいでいいだろう」と甘えが出てしまうこともありますが、「自分の家だったらどうだろう?」と想像してもらうことで、細かい部分にも気を配ることができるはず。最近では、スタッフや職人もこの意識をしっかりと持つようになってきました。細かい作業は、妥協しようと思えばできてしまうもの。ある程度、技術の差が出てしまうんですね。しかし、一般住宅だとそういった細かいところの気遣い一つが次につながっていく。後戻りができないことも多いので、写真を見て「これ、どうなっているの?」と聞くこともあります。最近では、職人もスタッフも私の気質を理解し、問題がありそうであれば先に確認してくれることが増えました。一つ悪いところがあれば、そこがすごく目立ってしまう。それをきっかけに他が気になってしまうこともあるでしょう。だからこそ、全ての品質を一番いい状態にすることが大切だと感じています。
施工が終わり、お客さまの笑顔を見る瞬間が一番うれしいですね。日々、トラブルがあったり、難しい現場があったりといろいろなことがありますから。お客さまに喜んでもらえるというのは、自分のモチベーションにもつながります。
地元に愛される企業へ、地域と共に成長する未来を
もともと、祖父も父も同じ建築板金業。父の時代には従業員も45人くらいいたのかな。20、30年近く前ですが、当時としては大きな規模でしたが、僕が20歳のときに会社を畳んで別の事業を興すと。兄はそのまま違う仕事に就きましたが、僕はどうしようかなと。ちょうど父のもとで働いていた方が独立すると聞いて、そこで修行することに。住み慣れた場所でもありますし、自分も独立するなら三重だろうと今もここを拠点にしています。
今後も、地域密着の想いは忘れずにいたいと考えています。全国的に見て、東海地区は単価が安い地域。なかでも三重は特に安価だと言われていますので、それを何とか解消したいという気持ちもありますが、そのためにも安心して任せられる職人を増やすというのが、今後の課題です。自分が頑張って大きくしたとしても、それを続ける人間がいなければどうにもなりませんから。ただ現状は、やっぱりできる人間はすぐ独立してしまうんですよね。そういった一人親方ともいい関係性を維持しつつ、協力しあえる環境を作っていきたいと思っています。
これまで同じ仕事を続けてこられたのは、常に「楽しい」と感じていたからだと思います。やりがいもあり、新しいこともあり、人とのつながりも広がってきたからこそ、一つひとつの出会いを大切にしていきたい。昔は、新しいことが苦手だったんです。でも、年齢を重ねるにつれてだんだんと人と関わる楽しさが分かるようになってきました。これからも、お客さまに喜んでいただけるよう努力し、地元で必要とされる外装工事店として成長し続けたいと思います。