INTERVIEW

「あなたらしさ」が活きるIT企業

株式会社システムズ

代表取締役社長 小河原隆史

システムの「マイグレーション」を軸に、50年以上にわたりITサービスを提供してきた株式会社システムズ。顧客と社員双方に誠実に向き合いながら、多様なサービスと挑戦の機会を提供し、時代とともに進化し続けている。近年はアメリカにも進出し、挑戦のフィールドを世界へと広げている同社。今回は代表の小河原隆史さんに、会社が重視するパーパスやユニークな研修制度、そして求める人物像について話を伺った。

“古さ”を活かし、未来へつなぐIT企業

株式会社システムズは、一言で言えば「ITの力でお客様を支える会社」です。1969年の創業以来、50年以上にわたってシステム開発やインフラ構築、保守運用など、幅広いITサービスを手がけてきました。なかでも特に力を入れているのが、「マイグレーション」と呼ばれる領域。古くなったシステムを、時代に合った新しい環境へと“引っ越し”させるような仕事です。たとえば、サポートが終了してしまったり、最新のセキュリティ基準に対応できなくなったシステムを、そのまま捨てるのではなく、使える形でよみがえらせる。そんな技術とノウハウを、私たちは25年以上かけて培ってきました。

多くのIT企業は、最新のテクノロジーをお客様へ提供することに重きを置いています。しかし、長年IT業界で事業を営んできた私たちはこう考えました。お客様が長年使ってきたシステムには、その会社ならではの業務や、現場の工夫が詰まっている。それをゼロから作り直すよりも、「今あるものを活かして、未来へつなげていく」ほうが、お客様にとって本質的なサポートになるのではないか――。そうした思いが、私たちのマイグレーション事業の原点になっています。

“誰が作ったか分からないような古いシステム”は、IT業界では敬遠されがちです。だからこそ、そこに当社の存在意義があると考えています。さらに私たちは、システムの移行にとどまらず、DXの推進やAIの活用といったその先の未来まで、共に描き、共に歩んでいける。それが、システムズの強みです。

『らしさ』を大切にしながら、『ありたい』をカタチにする会社

「らしさ」を大切にしながら、「ありたい」をカタチにする会社。これが、私たちが掲げているパーパスです。社員と話し合いながら、会社としての価値や姿勢を言葉にしたときに、一番しっくりきたのがこのフレーズでした。この考え方は、お客様に対してだけでなく、社員一人ひとりに向けたメッセージでもあります。人にはそれぞれ異なる「らしさ」があり、目指す「ありたい姿」も一人ひとり違う。だからこそ、会社が無理に型にはめるのではなく、それぞれが自然体で働けるように、環境を整え、機会をつくり、背中を押していく。それが、システムズの目指す組織のあり方です。

社員たちを理想像に当てはめて評価するのではなく、その人自身の「らしさ」を起点にしながら、次に進みたい方向を一緒に目指していく。そうすることで、自分の仕事に意味を見いだせたり、「これがやりたかった」と思える瞬間が増えていく。そんな関係性を、会社と社員の間に築いていけたらと、本気で考えています。変化の激しい時代にあっても、「らしさ」を軸にすれば、安心して前に進める。私たちはそう信じて、これからの組織づくりに向き合っていきます。

社員の成長を支える制度

社員が「らしさ」を活かして働ける会社であるためには、その成長を支える仕組みが必要です。当社では、主に二つの取り組みを行ってきました。ひとつは、「VISION56」という社内プロジェクト。会社としての“10年後のあるべき姿”を明文化し、社員全員と共有することを目的とした経営計画です。2014年、46期を迎えたタイミングで、10年後にあたる56期のビジョンを掲げようと立ち上げたことから、「56」と名付けられました。これは単なる経営計画ではなく、社員一人ひとりが「自分の仕事が、会社の何につながっているのか」を実感し、日々の業務の意味を見いだせるように。そんな想いから、現場の声をもとに、社員全員で構想したものです。

もうひとつは、社員のキャリアと人生を支える「キャリアデザイン研修」です。特徴的なのは、28歳、32歳、40歳、50歳という節目の年にあわせて研修を実施していること。きっかけは「50歳研修」でした。定年が65歳となり、将来的には70歳が当たり前になるとも言われる今、50歳は“あと10年”ではなく、“これからの15〜20年”を見据えるべき年齢です。そこで、キャリアを見直す機会を提供しようと、この研修制度が始まりました。40歳は、きたる50歳に向けて10年単位の新たなチャレンジを考える年齢。28歳は、仕事の悩みや迷いが生じやすい年齢。32歳は、結婚や出産などライフステージの転機が訪れやすい年齢です。こうした節目に研修を行うことで、“今の延長線上”にとらわれず、多様な選択肢に目を向けられるように。そして、社員が納得感をもって次の一歩を踏み出せるよう、当社は「制度」という形でその成長を支えていきたいと考えています。

活躍している社員の共通点

当社に限らず、社会で活躍できる人に共通するのは、“主体性”だと思います。目の前の仕事を、誰かにやらされているのではなく、「自分ごと」として捉えているかどうか。そうした姿勢がある人は、仕事そのものを楽しみながら、前向きに取り組めるのです。しかし、“主体性”は、外からの圧力で生み出せるものではありません。そこで私が意識しているのは、「思いきり挑戦できる場」をつくること。それも、こちらから「来い」と言うのではなく、「なんか面白そうだな」と、自ら飛び込みたくなるような場や、雰囲気をどう作るか。それが私の仕事の一つだと捉えています。

実際に、当社ではAIやクラウドなど、新しい挑戦の箱をいくつか用意しているのですが、そこに興味を持って飛び込んでくれる社員が増えてきました。もちろん、挑戦には失敗がつきものです。しかし、そこには必ず学びもある。だからこそ、私たちは一人ひとりの「やりたい」という気持ちを大切にし、転んだときもきちんとフォローできる体制を整えているのです。

挑戦のフィールドは、世界へ

私たちは約2年前から、アメリカ進出に向けた準備を進めてきました。日本経済が縮小傾向にあるなか、会社の成長を見据えると、グローバル市場への進出は不可欠だと考えたからです。さもなければ、社員にとって最適な労働環境を提供し続けることもできない──そんな危機感もありました。そして今年の4月、ついに北米にオフィスを開設しました。現地に精通したパートナーとの連携体制も整え、いよいよこれからが本番です。海外でも”レガシーシステム問題”は決して珍しくありません。当社が国内で培ってきたノウハウや技術を、今度は国境を超えて役立てていけたらと考えています。もちろん、文化や商習慣の違いといったハードルはありますが、それすらも含めて、チャレンジの一環です。

私はこれまで一貫して、「時代の変化に対応すること」を何より大切にしてきました。アメリカ進出も、そうした歩みの先にある挑戦です。これまで国内で積み上げてきた価値を、いかに“世界で通用するかたち”へと磨き上げていくか。これこそが、システムズが今後5年、10年をかけて挑むべき、次なるテーマだと考えています。

求めるのは、“粘っこい前向きさ”

「IT企業」と聞くと、最先端技術の高度な知識や、特別な経験が必要だと思われるかもしれません。しかし、生成AIやクラウドビジネスといった分野は、ここ数年で急速に広まったものです。実際に当社の社員を見ていても、「やってみたい」という気持ちさえあれば、知識や技術の差などはすぐに埋まると感じています。

当社が何より求めるのは、“チャレンジ精神”を持つ人です。ここで言う“チャレンジ精神”とは、一時的に何かに熱中するのではなく、“粘っこい前向きさ”のこと。熱い気持ちを内に持ちながら、じっくりと物事を継続できる人です。そんな方であれば、活躍の場はどんどん広がっていくと思いますし、私たちもぜひ一緒に働きたいと思います。どうか「あなたらしさ」を大切にしながら、一緒に挑戦し、一緒に未来をつくっていきましょう。新たな仲間と出会えることを、心から楽しみにしています。

株式会社システムズ

代表取締役社長

新卒で商社に入社し、営業職を経験したのち、1999年にシステムズへ転職。PG・SEとして現場で5年間開発を学び、営業責任者を経て2011年に代表取締役社長に就任。創業者である父の意志を継ぎ、開発と営業の両面から事業変革に尽力。現在は、社員の挑戦を後押しする風土づくりと長期的な成長戦略に力を注いでいる。