INTERVIEW

レガシーIT資産を活用するサービスで海外に

左:取締役COO 下野皓平氏 右:取締役CTO 菅田丈士氏

株式会社オムニサイエンス

取締役CTO 菅田丈士

取締役COO 下野皓平

取締役CTO 菅田丈士氏

株式会社オムニサイエンスは、幅広い業界で利用されている”レガシーIT資産”と次世代のテクノロジーや「DX」を組み合わせたプロダクトを提供する「Legacy with DX」インテグレーター。国内のローカル市場で鍛え上げた自社独自のサービスを武器に海外へと進出する。同社の取締役CTO菅田丈士さんと取締役COO下野皓平さんに話を聞いた。

取締役CTO 菅田丈士氏

単なるベンダーではなくパートナーに

取締役CTO 菅田:当社はレガシー資産と言われるIBM iと新しいテクノロジーを組み合わせ、新たな価値を見いだすサービスを提供していますが、IBM iというプロダクトは、1988年にIBMがリリースした製品から使い続けている、というお客さまが非常に多くいらっしゃいます。長く利用していらっしゃるお客さまほど、新たなものへのシフトチェンジに二の足を踏んでしまうのかなと思うところもあり、当社では、そういったお客さまに対して、一緒に手を取り合って新たなことに取り組みましょう、と単なるベンダーではなく、パートナーになれるよう皆さまと向き合っています。

現在は、クラウドサービスの移行を支援する「PVS One」とIBM iとクラウド・SaaSのAPIを連携させる「API-Bridge」という二つのサービスが主軸になっています。私自身、もともとはIBMでIBM iの担当エンジニアをしており、当社には2022年に入社。ちょうど「PVS One」の開発が始まっていたころでした。当時、IBM iの世界はオンプレミスの物理的なサーバーがメイン。それを新たにクラウドに移行するという我々はもちろん、お客さまも体験したことがないものを提供するという試みでした。当初はオンプレミスとクラウド、という環境の違いからなかなか契約に至らず、苦労した記憶があります。

新しいソリューションということもあり、自分もそうですが、やはりただ説明を受けるだけでは理解に至らないことも多いのかなと。だからこそ、実際にデモをお見せしたり、製品をトライアルで導入して触っていただいたり。なかなか決めきれないところをどう打破するのか。それほど大きな規模の会社ではないことを逆手にとり、フットワークを軽く他社とは違う視点を持ってお客さまと向き合うことが、今後も必要になってくるのではないかと感じています。

取締役COO 下野皓平氏

常に変わっていくことを目指して

とにかく思い付いたことを試してみて、いろいろな人を巻き込んでとにかく形にしてみる、ということが当社では多くあります。かなり早いスパンでいろいろな物事が進みますし、エンジニアとして実践したいこと、お客さまのためにこんなことができたら、と思うことをすぐに形にできるメンバーがそろっているのも当社の強みではないでしょうか。自分のスキルだけではお客さまのニーズに応えられないといった際など、できることがあれば、とサポートに手を挙げるメンバーも多くいますし、何より当社が向き合うレガシーIT遺産の領域は国内外問わず大きな可能性があり、そこにやりがいを感じている社員ばかりです。今後は、我々と同じように好奇心が強く、諦めずに行動し続ける人材をもっと増やしていければとも思っています。

当社が掲げる「Legacy with DX」というビジョンはお客さまのレガシーIT遺産のDX化を進めたい、という意味がありますが、それを実現するためには我々も常に研鑽を積み、変わっていく必要があると考えています。さまざまなスキルを持つプロ意識の高いメンバーのなかで、日々切磋琢磨して変化していく。明日、来週、1年後と常に変化しながら、お客さまに寄り添うサービスを提供し続けていきたいです。

国内外のIBM i市場を活性化したい

私たちがフォーカスしているIBM iというマーケットは長年利用し続けている固定客が多く、確実に商機を見いだせる市場です。だからこそ、当社はそのIBM iが持っているポテンシャルをもっと引き出したいと考えています。まずは、日本のIBM i市場を活性化したい。これがまず、ローカルの視点として持っているものです。

そのうえで、海外へもプロダクトを広く展開していきたいと考えています。国内でもまだまだ我々はチャレンジャーですから、海外市場の新規開拓は国内以上に大変なことも多々あると思いますが、各国の文化やマーケットの違いを理解しながら今は果敢に取り組んでいくしかないという気持ちです。私たちがグローバルに打って出ることによって、将来的に海外のIBM iユーザーの情報など日本のお客さまに還元できるものがあるかもしれません。

今後も「Legacy with DX」というビジョンを掲げつつ、国内外のIBM iマーケットの活性化に貢献できる企業を目指していきたい。新しいことにチャレンジし続ける文化を持つ当社だからこそ、ITで人や企業を豊かにするような取り組みをさらに続けていきたいと思っています。

取締役COO 下野皓平氏

レガシーマーケット領域でのサービスを主軸に

取締役COO 下野:当社はIBM iという世界115カ国、15万社を超える企業が長年利用し続けているIBM のOS、いわばレガシーシステムマーケットの領域でサービスを展開しています。なかでも、このIBM iを利用しているお客さまのシステムをクラウド化する「PVS One」、そしてIBM iと新しいクラウドサービスをつなげる「API-Bridge」という二つのサービスが主軸です。いずれも長年お客さまがIBM iを使って積み重ねてこられた基幹業務システムなどを活用し、より柔軟にさまざまなビジネスに展開できることが特徴です。

我々は、受託開発のなかで将来的に業界を変えていくコンセプトやニーズを見つけ、プロダクトに落とし込んでいき、それをさらに多くのお客さまに利用いただく、という形でサービスを育てていますが、「API-Bridge」も先進的なお客さまからのご依頼から生まれたもの。開発をするなかで国内のみならず、世界全体に必要とされるものだろうと感じるところがあり、製品化に至りました。当時は、まだ「API-Bridge」のもととなった考え方自体が広まっていなかったため、サービスの紹介というよりは「こういう時代が来ます」という啓もう活動から始めました。今ようやく「基幹システムのAPI連携と言えばオムニサイエンス」と想像していただけるところまできたのかな、という感覚もありますが、今後もさらに多くのお客さまにご利用いただけるよう、提案をし続けていきたいと思っています。

レガシー資産と新しいテクノロジーを組み合わせて

「PVS One」も「API-Bridge」も、レガシー資産と新しいテクノロジーを組み合わせるという当社ならではのプロダクト。レガシー資産には長い歴史がありますし、新しい技術にフォーカスしている会社も多くありますが、当社はその両方の価値を提供できるところが大きな特徴ではないかと思っています。

国内でも我々は未だ先駆者を追う立場ではありますが、今後は海外へも視野を広げていきたいという思いも持っています。今年6月には、ヨーロッパのプラハで開催された展示会に「API-Bridge」を出展、各国の技術者に興味を持ってもらったことに手ごたえを感じました。まずは、その「API-Bridge」を世界に展開していくこと。このプロダクトは、さらにアップデートできる要素がありますし、グローバルでも勝負できるのではないかと思っています。そして、その知見をもとにローカルとグローバル、両方の市場特性を踏まえながら今以上に大きなインパクトを与えられる新たなサービスを作っていくこと。この二つが今後我々が目指すべく新たなチャレンジです。

常に新たなことに挑戦するマインドを持ち続けたい

当社の強みは、常に新しいことにチャレンジする、という意識を社員全員が持っていることではないかと思います。私自身、IBMからの転職組としてIBM iといった基幹システムの大切さ。そして、そこにあるビジネスニーズを実感することが多々あります。ITというとAIやクラウドといった新しい技術要素を花形と思う節があり、IBM iは地味な世界かもしれません。ですが、そういった新旧の技術を組み合わせられる領域や、この市場はまだまだブルーオーシャン。チャレンジしがいがあると感じている社員ばかりです。エンジニアとして挑戦し続けたい、と考えている人であれば、とても居心地のいい環境ですので、我々の挑戦するマインドに賛同してくれる新たなメンバーがさらに増えるよう求人活動も積極的に行っていきたいですね。

当社は、2021年に今後4年間で実現していくビジョンとしてレガシーIT資産に新たなテクノロジーを組み合わせる「Legacy with DX」というものを掲げました。この「Legacy with DX」というビジョンを国内へとさらに浸透させることはもちろん、世界全体へと広げ、我々のサービスをより多くの方に提供できるようトライし続けていきたいと思います。

株式会社オムニサイエンス

取締役CTO

大学院修了後、日本IBM入社。GTSデリバリー部門でIBM iの設計・構築・移行プロジェクトに従事。2014年からはテクニカル・セールス部門にて、Power Systemsおよび IBM iの提案活動の技術支援を担当。2022年当社入社し、同年6月 取締役CTOに就任。

取締役COO

大学卒業後、日本IBM入社。10年間 IBM i 統括部などで営業や事業開発を経験。2020年当社入社し、同年6月 取締役COOに就任。